最近、LiD/APDの記事へのアクセスが多くなっています。
(わたしの拙いブログをお読みいただき、ありがとうございます。😊)
こちらの記事も併せてお読みくださいね♪⇒
新学年や新生活、さまざまな「新しい」を前に、娘と同じようにワクワクの中に抱えている小さな不安に、私と娘の体験が少しでもお役に立てるように願います。
LiD/APDの診断から1年8か月
令和4年5月に、娘が聴覚情報処理障害(APD)と診断されて1年8か月が過ぎました。
娘が大学3年の令和4年5月。
聞き取り困難症・聴覚情報処理障害(LiD/APD)の診断を機に、大学の休学、自閉スペクトラム症の診断とさまざまなことが一気に明らかになり、動いたこの約2年。
母である私には、一気に押し寄せた我が子の聴覚情報処理障害、自閉スペクトラム症の診断。
私は、ASDと同様にLiD/APDも診断を受けたときは「そうだったのか!原因がはっきりしてよかった!」と思ったものの、LiD/APDの理解をすすめ、娘の現状を知るうちに、最近では付き合っていくしかない、治癒はないという現実を知っただけ、と思い始めていた。
だから、娘に聞いてみた。「LiD/APDの診断を受けて、どんな1年8か月だった?」
娘の答えは
(LiD/APDの)診断をされてよかったし、自分の課題もはっきりしたでした。
わかるということは、説明できること、工夫できること
学校生活が始まったころから、娘自身が
「聞こえているのに、わからない」
「聞き返すたびに友だちにしかめ面や不思議がられることが嫌だから、分かったふりでいい」
「自分の状況が自分でもわからないのに、周りの人にも説明できるはずがない」
ということに悩んでいました。
でも、LiD/APDの診断を受けたことで、自分の聞こえにくさや聞こえにくい、また聞こえやすくなる状況を説明できるようになったこと、先に説明できること、聞こえやすさの工夫が自分でもわかりやすくなったことが、自分を楽にしてくれるようになったと言います。
自閉スペクトラム症もあり、対人関係に困りつくした中学、高校生の頃。
当時の友人とは、今はほとんど交友がありませんが、ここ1年ほどはSNSで趣味の友だちが増え、最近では一緒に出掛ける機会や通話で長く話すことも増えました。
10代の頃には、考えられなかった友だちとのコミュニケーションです。
娘は、新しい友だちに初めて会う前、また初めて通話で話す前に先に聴覚情報処理障害について打ち明けるそうです。
「聞こえてるんだよ。でも聞き取れないことがけっこうある。でも、聞いてないんじゃない。そんな時は、何度も聞き返すと思うし、もしかしたら字で書いてって言うかもしれないけど、付き合ってね」と。
今までに打ち明けた友だちの中で、差別的に受け取った子はいたことがなく、また逆に「私にもこんなウィークポイントがあるよ~」と、相手からの告白がある場合もあり、お互いの理解にもつながることも少なくないと。
そして、先に打ち明けているので、聞き取りにくさがあれば何度でも聞き返せるし、「文字にして」とお願いしもしやすい、またロジャーの送信機を向けても嫌な顔をされないことが何よりも気持ちが楽だと。
診断を受けていなければできなかったこと。はっきりしたことで、できるようになった数々です。
私は、聞こえにくさの当事者ではないから、わが子についたその診断を受け入れる気持ちの整理、これまでの娘への関わり方を思い返し、見直すことでいっぱいいっぱいの期間で、その中には後悔も否定もまだ受け入れられない部分もあって、だから「診断されたところで変わらない」と思っていたのでしょう。
でも、聞こえにくさに不自由してきた娘にとって、聴覚情報処理障害の診断は、治らなくても自分を前に押し出すためのいいツールになったそうです。
だから、診断を受けてよかったのだと。
付き合っていくしかないLiD/APD。
でも、相手(LiD/APD)が分かれば、付き合い方も知ることができる。
発達障害とも関連が深く、脳の気質的な特徴により起きる聞き取り困難症・聴覚情報処理障害(LiD/APD)は、耳鼻科医でも知らない人が多く、診察を受けることのできる医療機関は多くありません。
(そもそも、耳鼻科でいいのか?という印象すら、私にはあります))
だから、逆に診てくれる病院は検査の予約ですら何か月待ち・・・という現状のようです。
でも、もしも娘と似たような聞こえの経験があり、私のブログが動き出すきっかけになれば、本当にうれしい。
娘のように、自閉スペクトラム症や算数障害など、もしかしたら向き合いたくなかった現実にも向き合わないといけなくなるかもしれないけど、方向を変えてアイテムを揃えて、自分がしたい生活に踏み出して欲しいな、と思います。
娘の聴こえアイテム
これまでのブログでも紹介してきましたが、娘は現在2種類の聴こえツールを使っています。
ひとつめは、PHONAK社のデジタルワイヤレス補聴援助システム ロジャーです。
こちらは、診断を受け、医師に紹介されて令和4年12月に購入しました。
もうひとつが、LiD/APDの診断を受ける前に、購入していたKINGJIMのデジタル耳栓MM3000。
令和4年3月に購入しました。
注意:このモデルは、現在販売終了になりMM4000にモデルチェンジしています。
情報の参考にしてください。
1年間の使用から、現在はふたつを生活の場面で使い分けしている娘。
それぞれの特徴と、使用場面、娘主観での聴こえの違いなどについてまとめました。
PHONAK ロジャーフォーカスⅡ・セレクト | KINGJIM デジタル耳栓MM3000 | |
PHONAK社 ロジャーフォーカスⅡ(受信機) ロジャーセレクト(送信機) | KINGJIM MM3000 ※現在このモデルは、新機種の発売に伴いメーカー販売終了はなっています | |
装着の感じ | 補聴器タイプなので、こんな感じ。 ワイヤーは見えますが、髪の長い方だと、耳の後ろの本体は隠れて見えません。 | イヤホンタイプなので、こんな感じ。 ころっと丸い形で、割と大きめで隠れません。 購入当初は、目立つので嫌がっていました。 |
機器の形状 | 受信機(自分の耳に付ける補聴器型)と 送信機(テーブルに置いたり、話す人が持つなど)から成り立つ | 自分の耳に付けるワイヤレスイヤホンタイプ |
メーカー説明 | 周囲の雑音レベルを継続的に測定し、マイクロホンのボリュームを自動的に調節します。雑音レベルが増加するとそれにロジャーが適応し、話者の声が背景雑音より大きくなるように保ちます。 (デジタルワイヤレス補聴援助システム 「ロジャー」紹介HPより) | 高精度アクティブノイズキャンセリング技術で環境騒音を低減 声は聞こえて騒音だけをカット (KINGJIM MM3000紹介HPより) |
聞こえ方 | ・人の声が選ばれて大きくなり聞き取りやすくはなるものの、ノイズキャンセリング機能ではないため、周囲の雑音も一定の大きさで聞こえる。 ・送信機を聞きたい方向に向けることで『聞かないといけない音、声をはっきりさせる』ことができる。つまり、送信機がマイクの役割を果たしているため、拾った音や人声を送信機でクリアに聞くことができる。 逆に送信機が向いていない方向の音(拾わない音)は、聞こえない(聞きにくい) | 耳栓の名前の通り、全体の音が小さくなる。 ノイズキャンセリング機能により、環境音はカットして、その中でも人の声や電車のアナウンスなどを拾う かなりの効果で、向かいあったテーブルで相手が話しながら椅子を引いて立ち上がっても、椅子のがたがたいう音は限りなく小さく、話し声がちゃんと聞こえる。 ☆これには、なかなか驚きます |
メリット | 話す人とある程度の距離があっても、送信機を向けることでクリアに大きく聞くことができるため、集中しやすい。 | 耳栓から想像できるように、全体の音を小さく聞こえにくくする。聴覚過敏の人には、電車の中など環境により向いている。 |
デメリット | マイクの役割を果たす送信機が向いていない方向は、音も声も拾わない。逆に、送信機が向いている方向は、人声は大きく調整されるが、その他の例えばエアコン、椅子を引いた音、複数名の声も全て拾い聞こえる。 | 全体の音を小さくするため、人声は拾うもののその大きさも小さめ。また、人声は方向を問わず複数の声を拾うので、特定の声を聴きたい場合には、不向き |
メインで使っている場面 | ・大学で大講堂での授業(最前列、教授の正面に座り送信機を教授方向にセットする)※一般的な教室では、肉声も直接地耳に入ってくるので、逆に聞こえにくいそうです。 ・ケーキ屋さんでのバイト(混雑して、店内が騒がしいときにお客さんにお願いして送信機に向かって話してもらっている) ・自宅や映画館で映画を観るとき⇒効果音も聞こえるが、役者のセリフがはっきり聞こえるため、初めてロジャーを使って映画を観た時、いかに字幕に頼って観ていたか、聞こえていなかったかがわかったそうです | ・通学などの電車の中(全体に小さくなるが、アナウンスははっきり聞こえる) ・自宅でひとりで過ごすときや読書の時(周囲が静かな時は、自分の呼吸音が気になるそうです) |
娘の主観 | 聞くべき声が聞こえやすくはなったが、APD特有の聞こえ方には変化はないので、集中していないと聞き漏らす=聞こえの援助のシステムであることの実感 | 耳栓のうたい文句どおり、環境音、雑音はかなり軽減されるため、APDより聴覚過敏の方に非常にお勧め |
娘に、具体的な場面での聞こえの違いを聞いてみました。
(例)ペンを持ちながら、授業を聞いている場面。
そのペンを、自分の手元のテーブルに落として「カチャーーン!」という音がした。
ロジャーフォーカスⅡ・セレクト
教授の話し声も、ペンが落ちた「カチャーーン!」もすべて聞こえる。むしろ、カチャーンの金属音が高く響いて、耳が痛くなることもある
デジタル耳栓 MM3000
ペンが落ちた「カチャーーン!」はほとんど聞こえないが、聞くべき教授の声は聞こえているが全体的に常に小さめ。
と、いった感じでしょうか。わかります?
各機種のメーカーHPを貼り付けておきます。参考にしてください。
やっぱり課題は自閉スペクトラム症
ロジャーを医師に紹介してもらったときは、母娘で
「ロジャーが聴こえの全てを解決してくれる!」と喜んだ。
でも、購入前の娘の期待値98✨に対して、1年の使用を経ての実際値は70~80😢。
デジタルワイヤレス補聴援助システム ロジャーは、やはり機械。どこまでも聴こえを補い、援助してくれるシステムでしかない、と気づいた。
でも、あるとなしでは、生活は大きく変わり、またあることで、娘の外に対する姿勢は大きく変化した。
自分の機能は変えられない(治癒しない)けど、補い付き合うことで自分は変化できる。
そして、ロジャーを使うことで次に明確になったことは、
「聞こえやすくなったことで集中しやすくはなったけど、集中しておかないと何が何だかわからなくなる」こと。
はっきり聞こえることで、情報量が一気に増えるので、今度はその増えた情報を適切に処理しないといけない。
つまり「ワーキングメモリ」の課題ですね。
自閉スペクトラム症の診断過程で発達検査を受け、その中でもワーキングメモリの値が低い娘にとって、これはとても難しい作業です。
やっぱりベースの自閉スペクトラム症がニョキッと顔を出す。
でも、仕方ない。
聞き取り困難症・聴覚情報処理障害と同じく、自閉スペクトラム症も付き合っていくしかないけど、相手(ASD)を知れば付き合い方がわかり、工夫はできるはず。
ワーキングメモリへの付き合い方を、娘は只今模索中のようです。
「大学の講義なら、ロジャーとICレコーダーを併用すればいいんじゃないの?!」と尋ねたら、先日からその使いたいICレコーダーがどこかへ行っちゃったそうです💦
あ~・・・またもや自閉スペクトラム症がニョキッ!
も~~~!😅
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