補聴援助システム・ロジャー フォーカスⅡとは?
日常生活、社会活動に直結する「聴こえ」に問題がある聞き取り困難症・聴覚情報処理障害(LiD/APD)。
検査を受け、診断がされるようになったものの、現在は治療法がなく具体的な対応がまだありません。
その中で、現在効果を確認されているのがフォナック社の『補聴援助システム・ロジャー』。
LiD/APDのために開発された機器ではなく、もともと聴覚支援学校の授業等に使用されていたもので、機器としての実績はあり、APDに応用する形で試験的に使用されました。
効果の確定に時間がかかったものの、聞き取り困難症・聴覚情報処理障害(LiD/APD)への有効性が確認され、一気に需要が高まっています。
この補聴援助システム ロジャー(以下ロジャー)とは、どんな機械なのでしょう?
ここでは、補聴援助システム ロジャーの中で補聴器や人口内耳を必要としない「ロジャーフォーカスⅡ」と「ロジャーフォーカスⅡ-312」についてお伝えします。
ロジャーフォーカスⅡとは?
まず、この機種自体に「補聴機能」は全くありません。
補聴器ではなく、補聴援助システムという位置づけになり、さまざまな身体的理由や環境下で言葉の聞き取りが困難な人の「聞こえ」をサポートする機械です。
マイク(送信機)で拾う、集めた音を飛ばしてロジャー(受信機)で聞く。ためのものです。
難聴や聴力障がいなどの聴力に問題がある場合には、別に補聴器が必要になり、補聴器にロジャーをセットして使用するようですが、聴力に問題がない娘は、ロジャーのみの使用となり、適応機種はロジャーフォーカスⅡになります。
機種選びのポイント
上記で説明したように、ロジャーは「受信機」と「送信機」セットでの使用になります。
1⃣受信機は、補聴器の形状で耳に直接装着するものです。
2⃣送信機は、マイクの機能を果たし、機種により形状は異なりますが、手に持ったり首にかける、テーブルなどに置いて使用します。
1⃣受信機=ロジャーフォーカスⅡ、ロジャーフォーカスⅡ-312
タイプ別
電源の違いにより、充電池タイプと電池タイプがあります。
以下の表にまとめました。
ロジャー フォーカスⅡ-312 (電池式) \64680税込 | ロジャー フォーカスⅡ (充電池式)\87780税込 | |
---|---|---|
電源 | 空気電池(PR41 / 312) | 内蔵型充電式リチウムイオン電池 ※専用チャージャー(充電器)が必要 |
連続使用 | 連続使用 最大52時間 ※通常の使用で1週間程度 | 3時間でフル充電 約20時間使用可能 |
電池コスト | 補聴器専門店購入8粒¥1000程度 ネット通販購入 30粒¥1300程度 | チャージャーBTE RICが必要 ¥12606税込/個(別売り) |
メリット | ・電池さえ持っていればいつでも交換が可能 ・電池は通販などで手に入りやすい | ・手の不自由な方でも、充電が簡単 |
デメリット | ・電池を購入しないといけない ・交換用電池の携帯が必要 ・手が不自由などの場合は電池交換が難しい | ・一度充電後、放電してしまうと使用できなくなるため、充電し続けなければいけない ・充電に時間がかかるため、急な充電切れの場合にロジャーを使用できない ・繰り返しの充電により充電池の容量が小さくなる ・充電器がないと使えない |
補聴器センターの担当者に上記表の説明を受け、電池式が信頼性が高いのかと考えています。
使いたいときにふいに切れてしまう、と言うことは避けたい状況。
やはり、電池さえあれば入れ替えればいい、というのが心配がなくていいですね。
交換用電池は、大手通販サイトで手軽に購入もできます。しかも、安いですね。
カラーバリエーション
機種によりカラーバリエーションは違います。
充電式のロジャー フォーカスⅡは全10色。とてもきれいなカラーが揃っています。
電池式のロジャーフォーカスⅡ-312のカラーはホワイト、シルバーグレーとベルベットブラックの3色のみ。
充電式のロジャーフォーカスⅡを選ばれる方は、いろいろなカラーを楽しんでくださいね。
2⃣送信機=ロジャーオン、ロジャーセレクト
カタログには、5種類ありましたが、学生の娘が講義やグループワーク、日常生活での使用に適するものとして近距離対応の「ロジャー オン」「ロジャー セレクト」の紹介がありました。
タイプの違いをまとめてみました。
ロジャーオン \140800税込 | ロジャーセレクト \140800税込 | |
マイクの数 | 4か所 | 8か所 |
電源 | 充電式(USB タイプC) 3時間の充電で約8時間 | 充電式 2時間の充電で約8時間 |
使用可能距離 | 約25m ※アプリ使用で50mまで拡張可能 | 約15m |
携帯電話の接続 | マイロジャーマイク アプリ | Bluetooth接続 |
特徴 | ・マイクのように持って、聞きたい人の方向に向けることができる ・3つのマイクモードの切り替えが可能 ・オーディオプラグ変換ケーブルを利用してTV、ポータブル機器と接続可能 ・充電用USBケーブルを利用してPCとの接続可能 | ・パソコンとの接続も可能でZOOMなども可能 ・特定の方向をキーで選択して切り替えが可能 ・Bluetooth接続により、電話をかけたり受けたりできる |
サイズ | W24mm×L100mm×H14mm 重さ27g | 直径55mm×H12mm 重さ28g |
スティック状で軽量、ストラップで首にかけたり、クリップが付いているので服につけたりもできるロジャーオン。
丸い形で主に卓上に置いて使用し、付属のクリップで胸元に装着もできるロジャー セレクト。
このふたつの大きな違いは、マイクの数。
オンが4か所でセレクトが6か所。
マイクの数で、拾うことのできる範囲の広さが変わります。
ほかには、専用のアプリがある、Bluetooth接続が可能など接続や設定方が異なるだけで、機能に大きな差はないようです。
しかし、大学でZOOMなどのweb講義で聞き取りに不自由さを感じることが多く、また、スマホとのBluetooth接続が可能でユーディートークなどの文字起こしアプリの使用も検討しているため、セレクトの方が汎用性は高いのかな?と検討しています。
補助金
ロジャーの価格は、上の表でご覧の通り、両耳の受信機と発信機1台でおおよそ27万円~32万円くらい。
高いですね。
一般的な補聴器は、身障者手帳の等級により助成が受けられますが、ロジャーは「特例補装具」「FM型補聴器」「デジタル無線方式」という点で一般的な補聴器とは異なるため、現状ロジャーの助成は認められない自治体がほとんどのようです。
私の在住市の福祉課へも問い合わせましたが、やはり適応外。
だめでした。
身体障碍者手帳が発行されない聞き取り困難症、聴力情報処理障害(LiD/APD)では、助成は受けられないとのこと。
こちらのサイトに、ロジャーに関する助成金制度の都道府県リンクがあります。
お住いの市町村の情報をご覧ください。
LiD/APDの認知度が少しづつあがり始めており、助成金導入の活動をされている地方県議会議員さんもおられるようです。
今後聴覚情報処理障害で生活が困難な方の理解が広まり、その手助けとなるロジャーフォーカスの助成金が認められて欲しいものです。
買うか否か
優秀な機能があり、聴覚支援学校等での実績もある補聴援助システム ロジャー。
しかし、娘に有効かどうかは実際試さないとわからない。
同じLiD/APDであっても、聞き取りにくさに個人差があり、またそれぞれ使う場面も異なる。
その人、使う場所によってロジャーが有効にも、そうでなくなる場合もあり、こればっかりは試してみないとわからない。
補聴器センターの担当者の方にもそう言われました。
しかも、両耳と送信機を用意すると、電池式で270160円(R5.3.31現在)。
充電池式だと、さらにチャージャー代金も含むので、328966円になります。
本当に、自分自身にとって、そこまでのお金を出す価値があるか?
それを考えないといけませんね。
でも、親としては、これを持つことで娘が自信がもてるなら。
娘の不安が少なくなるなら。
ついつい期待してしまい決して高い買い物ではない、と思ってしまいますが、購入前にレンタルで試聴体験をして、その点も慎重に検討してみたいと思います。
次回は、レンタルでの体験の感想と、購入までをお伝えしますね♡
ここまでお読みいただき、ありがとうざいました。
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